【多裂筋】反り腰・腰痛に悩む人が知っておくべき深層筋の役割

多裂筋サムネイル
KIYOMI

T’s PilatesのKIYOMIコラム
「誰でもわかる解剖学」
今回のテーマは『多裂筋』です!
多裂筋は、背骨のすぐそば、深いところにある小さな筋肉の集まり。
この多裂筋、皆さんが悩まれている反り腰や腰痛と深く関連しているのを知っていましたか?
ぜひ最後までチェックしてみてください!

目次

こんな腰のサイン、見逃していませんか?

こんな腰のサイン、見逃していませんか?

日常生活でこんな不調を感じたことはありませんか?

・朝起きたときに腰がこわばっている感じがする
・長時間同じ姿勢でいると腰が痛い、重だるくなる

・ピラティスのロールダウンの動きが出来ない

これらは多裂筋がうまく働いていないサインかもしれません。
ここから多裂筋について分かりやすく解説していきます!

多裂筋とは

多裂筋

多裂筋(たれつきん)

多裂筋は背骨のすぐ近く、深いところにあるインナーマッスルの一つです。
首から腰までびっしり付着していますが特に腰で発達していてこの部位は「腰部多裂筋」と呼ばれています。
多裂筋の役割は以下のとおりです。

多裂筋の作用

多裂筋の作用

背骨の安定化:背骨をしっかり支えて、体の中心を安定させる役割があります。これにより、体がグラグラしないようにサポートしてくれます。
背骨を反らせる:左右の多裂筋が同時に収縮する事で、背骨を反らせる事ができます。
背骨をひねる:多裂筋の片側が収縮する事で、体を反対側にひねる事が出来ます。

【専門家向けの解剖学:多裂筋】
多裂筋は脊柱の深部にある筋肉で、複数の椎骨をまたいで付着しています。
起始:腰椎・胸椎・頚椎の棘突起(各椎骨の棘突起から)
停止:起始部より上位の2〜4椎の横突起または棘突起
作用:脊柱の伸展(両側)、脊柱の反対側への回旋(片側)

体幹のインナーユニットとの関係

インナーユニット

インナーユニット

体幹の「インナーユニット」とは、体の中心(コア)を内側から支えてくれている4つのインナーマッスルのことです。

・横隔膜(天井)
・骨盤底筋群(底面)
・腹横筋(前〜側方)
多裂筋(後方)

これらは「腹腔内圧(IAP)」を適切に調整し、脊柱の剛性を高めることで、手足の動きを安定したものにします。
また、多裂筋も腹横筋と同様に「フィードフォワード機能」を持つことが研究で示されています。
フィードフォワード機能とは、手足の動きに先立って、体幹の安定化のために無意識で収縮する仕組みです。
つまり、腕を動かす時、歩いている時も手足の動きに先立って多裂筋が収縮し背骨がグラグラしないように安定させているということです!

多裂筋と反り腰

多裂筋と反り腰

多裂筋は、反り腰とは切っても切れない深い関係性があります!

ここで抑えてほしいのは多裂筋が強いから反り腰になるわけではないということです!
多裂筋は背骨を反らす筋肉ですが、弱くなっても反り腰に繋がります

何らかの原因で多裂筋が弱くなると、安定性が失われた体幹を補うために、アウターマッスルである脊柱起立筋などが過剰に働き、腰を反らせて支える姿勢になる恐れがあります。

また、腸腰筋や大腿直筋の緊張、短縮で骨盤が前傾し反り腰になることで、多裂筋も持続的に短縮位となり、反り腰をより強固なものにしてしまうという事も大いに有り得る話です!

つまり反り腰の改善には、腸腰筋や大腿部の筋肉の緊張を抑えたうえで、多裂筋を再教育していく必要があるということです!

多裂筋と腰痛の関係

多裂筋と腰痛の関係

多裂筋と腰痛の関係

長時間のデスクワークや座りっぱなしの生活、出産後の生活は多裂筋の弱化を招きやすいと言われており、慢性腰痛との関連性が非常に高い事が明らかになっています。
研究で挙げられているのは以下のとおりです。

①多裂筋の萎縮・左右差
腰痛患者では、多裂筋の筋肉量の低下(萎縮)や左右差がよく見られます。MRIや超音波で測定すると、健常者に比べて片側の多裂筋が薄くなっていることが多く、特に痛みのある側で顕著。

②フィードフォワード機能の遅れ
健常者では、手や足を動かす前に多裂筋が無意識に先まわりして収縮(フィードフォワード)し、脊柱を安定させます。腰痛があると、この先行的収縮が遅れたり、働かなくなることが報告されています(Hodgesら)。

③ 再発性腰痛の要因
多裂筋の機能不全があると、腰痛が一時的に治まっても再発しやすいことが研究で示されています。

多裂筋の低下は腰痛とかなりリンクしていることが分かります。

また、多裂筋には、筋紡錘(きんぼうすい)という固有感覚受容器が豊富に存在しています。
これは筋肉の長さや緊張状態を感知し、脳に情報を送るセンサーのような働きをします。

筋紡錘が豊富ということは、多裂筋が適切に働くことで、「背骨の位置を感じ取る力」=姿勢の感覚が高まり、より正確に身体をコントロールできるようになるという事に繋がります。
しかし、慢性的な腰痛ではこの固有感覚のフィードバックが鈍くなるとされます。
その結果、背骨の位置情報があいまいになり、姿勢が崩れたり、過剰な筋緊張・代償運動が生まれやすくなります。

実際のレッスンでも、腰痛の方は思ったように背骨を動かせない事が多い場面が多いのではないでしょうか?
そのため、腰痛をピラティスで整えるにはこの筋紡錘(固有感覚)へのアプローチが必須になると考えております。(くれぐれもいきなりプランクなどのエクササイズはやらないようにしましょう!)

日常生活での多裂筋の活躍

日常生活での多裂筋の活躍

日常生活においての多裂筋の活躍は計り知れません。(ほぼすべての動きに関わっています)
例えを挙げると、

①立っているときや椅子に座っているとき:背骨をしっかり支えて、姿勢が崩れないようにキープする

②前かがみになるとき:腰がグラつかないように背骨を安定させて、腰を守る

③歩く・走るといった動作のとき:体幹を安定させながら背骨の微妙な動きを調整し、スムーズな動作をサポート

前述のフィードフォワード機能を駆使して、無意識的に働くことが多裂筋の最大の強みです!

動画で学べる多裂筋のエクササイズ

多裂筋のリリース

反り腰の方は、上記の様なブリッジエクササイズで背骨一個一個を丁寧に扱えるようになりましょう。こうすることで多裂筋の過剰な緊張が和らげる事が期待できます。

多裂筋のストレッチ

①四つ這いの姿勢になる
②両手でマットを押しながら、お腹を引き込んで背中を丸める
背骨を1本ずつ動かすイメージで丁寧にストレッチしましょう

多裂筋のピラティスエクササイズ

① 四つ這いになります
② 両手でマットをグッと押して、体幹を持ち上げる
(後頭部〜尾骨までが一直線になるように意識)
③ そのままの姿勢をキープしながら、左手を上げて、右足をゆっくり持ち上げる
腰が過剰に反ることなく、手足を動かしても安定していればOK

いかがでしたでしょうか?

多裂筋の理解は深まりましたか?
反り腰や腰痛への関わりが強いということが分かったかと思います。

ピラティスは多裂筋を整えるには非常に相性がいいので、解説したようなトラブルに悩まれている方は是非お近くのピラティススタジオに行ってみてはいかがでしょうか?

それでは、また次回の投稿もお楽しみしていてください!

KIYOMI

以上参考になれば嬉しいです。

また次回の投稿もお楽しみに!

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