【前鋸筋】体幹と腕をつなぐ!上半身の架け橋はココ

前鋸筋の解剖学
KIYOMI

T’s PilatesのKIYOMI先生コラム
「誰でもわかる解剖学」
今回のテーマは『前鋸筋(ぜんきょきん)』です!

前鋸筋は、肩こり・猫背・巻き肩・腕の疲れやすさなど、
多くの不調に関わっている“隠れたキーマッスル”。

この筋肉がしっかり働くと、肩甲骨が安定して、姿勢も美しく、体幹の安定感までアップ!

でも逆にサボっていると…
「なんだか肩がこる」「姿勢が崩れやすい」「腕を動かしにくい」そんな不調の原因になっているかも。

今日はそんな“前鋸筋”について、わかりやすく、でもちょっと本格的に深掘りしていきます!

目次

ピラティス中こんなことありませんか?

前鋸筋不全の代償動作

こんなサインに要注意!

日常生活やピラティスの動作中に、こんなサインは見られませんか?

・気づくと肩がすくんでいる
・首や肩まわりが力んで動きにくい
・肩甲骨がスムーズに動かない

実はこれ、「前鋸筋」がうまく使えていないサインかもしれません。

次の項目では、「前鋸筋ってどんな働きをしているの?」という疑問に、わかりやすくお答えしていきます!

前鋸筋とは

前鋸筋イラスト

前鋸筋(ぜんきょきん)

前鋸筋(ぜんきょきん)は、わきの下あたりにある筋肉で、肋骨から肩甲骨の内側に向かってついています。

この筋肉が働くことで、腕を前に伸ばす動きがスムーズにできたり、 肩甲骨がグラグラせず安定して動かすことが出来るようになります!

ふだんはあまり目立ちませんが、肩や腕、そして姿勢を支えるのにとっても大事な存在なんです!

前鋸筋のはたらき

前鋸筋の作用

前鋸筋の作用

前鋸筋は、腕を前に伸ばしたり、押し出すような動き(腕立て伏せなど)で使われる筋肉です。
このとき、肩甲骨を外に開く「外転」が起きています。

また、前鋸筋は上部と下部で少し役割が違います。

上部線維:肩甲骨を少し下げつつ、内側に回すように働きます(下方回旋)
下部線維:肩甲骨を斜め上に回して、腕をバンザイのように上げる動きをサポート(上方回旋)

前鋸筋がうまく働くと、肩甲骨が安定して、腕もスムーズに動かせるようになります!

【専門家向けの解剖学】
起始:第1〜第9肋骨の外側面(側方部分)
※筋束は肋骨ごとに分かれており、上部・中部・下部に分かれることもあります。
停止:肩甲骨の内側縁(前面)
上部筋束:肩甲骨上角付近
中部筋束:肩甲骨内側縁
下部筋束:肩甲骨下角付近

外腹斜筋との筋膜連結

前鋸筋と外腹斜筋の連結

前鋸筋と外腹斜筋のつながり

前鋸筋は外腹斜筋(がいふくしゃきん)と筋膜で連結していると言われています。

具体的には、第5〜9肋骨前面において、前鋸筋と外腹斜筋の筋膜が交差・連結する部位が存在します。これはトーマス・マイヤーズの『アナトミー・トレイン』における「Functional Line(機能的ライン)」の一部でもあり、対側の上肢と下肢をつなぐ交差パターンの中核をなします。

たとえば、前鋸筋がしっかり働くと、外腹斜筋も効率よく力を伝えることができるため、体幹の安定やねじる動作がスムーズになります。反対に、どちらかの筋肉が硬くなったりサボっていると、もう一方の動きにも悪影響が出ることがあります。
専門的には

・上肢の挙上・前方推進動作におけるコアとの連動性
・ローテーション動作における回旋モーメントの伝達効率
・肋骨の前方突出や胸郭の開きに関与する姿勢保持機能

上記のような動きに影響していると言われています。

このような筋膜のつながりを意識することで、ピラティスやトレーニングの効果がぐんと上がる可能性が高いのでインストラクターは知っておきましょう!

前鋸筋が使えないとどうなる?

前鋸筋が弱い(機能不全)と起こりやすいエラー

前鋸筋が弱い(機能不全)と起こりやすいエラー

前鋸筋は、肩甲骨を安定させるためにとても大切な筋肉です。
家で例えるなら、「肩の土台」をつくる基礎のような役割。

この基礎の部分がしっかりしていないと、肩まわりや体幹のバランスが崩れやすくなり、さまざまな不調につながります。

たとえば──

・肩甲骨が不安定になり、体幹の軸がぶれやすくなる
・肩がすくみやすく、首や肩まわりが緊張しやすくなる
・姿勢が崩れて猫背になりやすくなる

前鋸筋が弱いままだと、体幹から腕への力の伝わり方がうまくいかず、動きがぎこちなくなったり、首や腰など別の場所に負担がかかることも。

また、前鋸筋の機能不全で有名なものに「翼状肩甲」があります。(肩甲骨が翼のようにみえることからこの名がついています)
下の画像では両手を壁についていますが、右側は前鋸筋が機能しておらず肩甲骨が内転・下方回旋し浮き上がってしまっています
翼状肩甲はシンプルに前鋸筋の筋力低下でも起きますが、前鋸筋を支配している長胸神経の麻痺の可能性もあります。

翼状肩甲

⇧翼状肩甲(画像引用:日本整形外科学会)

実際、ピラティスのレッスン現場でも写真ほど顕著ではなくとも、前鋸筋の機能不全を起こして居る方は非常に多いです。
プッシュ系の動作(キャット&カウ)などで全く押せない方は翼状肩甲を疑ってみてもいいかもしれません。

このような方によくある「肩甲骨はがし」のような整体は逆効果になり得るので注意が必要です!

日常生活での前鋸筋の活躍

前鋸筋の日常生活での働き

前鋸筋は、日常の「腕を使う動き」を支えてくれる筋肉です。

・パンチ動作や腕を前に突き出すとき、肩甲骨を前に押し出すことでスムーズに力を伝える
・ベビーカーや買い物カートを押すとき、肩甲骨を安定させて体幹ごと動きをサポート
・手を高く伸ばすとき(棚の荷物を取る・吊り革につかまる)

メジャーな筋肉ではありませんが、日常動作の“安定”に欠かせない存在なんです!

動画で学べる前鋸筋のエクササイズ

ここからは実際に前鋸筋のエクササイズを動画で解説していきます!

前鋸筋の感覚入力エクササイズ

1.四つ這いになります
2.力を抜いた状態から、両手でマットをまっすぐ押す
3. 後頭部から尾骨までが一直線になるように意識!
このとき、脇の下のあたりに力が入る感覚があればOK!
肩がすくまず、肩甲骨が肋骨にピタッと張りつくような感覚が大事。

前鋸筋のピラティスエクササイズ①

1.四つ這いで片手を耳の後ろへ
2.床を押しながら体をひねる
3. 押している側の二の腕から脇腹にかけて効いている感じや震えが起きればOK
骨盤の回旋代償に注意

前鋸筋のピラティスエクササイズ②

1.四つ這いになります
2.両手でマットをグッと押して、体幹を持ち上げる(後頭部〜尾骨までが一直線になるように意識)
3. そのままの姿勢をキープしながら、右手を上げて、左足をゆっくり持ち上げる
常にマットをしっかり押すからこそ前鋸筋が働く。
脇腹のあたりに力が入っている感覚があればOK!

前鋸筋のピラティスエクササイズ③

  1. 膝を付いた横向き姿勢で片手はマットに付けます
  2. 骨盤を持ち上げて身体を一直線にします
  3. 床を押しながらフリー側の手をバンザイしましょう

床を押している側はCKC、バンザイ側はOKCで前鋸筋を使うエクササイズ

前鋸筋のマシンピラティス

チェアで行う「ペルビックレイズ」は前鋸筋〜外腹斜筋を効かせる代表的なマシンピラティスエクササイズです

いかがでしたでしょうか?

前鋸筋は、ただ「肩甲骨を動かす筋肉」ではないこと、伝わったでしょうか?
実は、腕を前に出す・押す・高く伸ばすなど、日常のあらゆる動きの中で活躍してくれている、頼れるサポート役なんです。

肩甲骨を安定させることで、腕や肩の動きをスムーズにしたり、姿勢の崩れを防いだりと、見た目以上に重要なポジション。
さらに、体幹を支える腹斜筋とも連動して働くため、身体全体の“安定感”にもひと役買ってくれます。

前鋸筋がしなやかに働くことで、肩の力みや首の緊張がやわらぎ、自然と動きやすく、疲れにくい身体に近づいていくんです!

KIYOMI

以上参考になれば嬉しいです。

また次回の投稿もお楽しみに!

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