ドローインで終わらせない!ホッジス理論から考える体幹の無意識制御

ドローインで終わらせない!ホッジス理論から考える体幹の無意識制御

T’s Pilatesの幸野です!

今回はインストラクターさん向けの内容です!
イントラの皆さんは「腹横筋」と聞いて何を思い浮かべていますか?
お腹のインナーマッスルだよね?とか
ドローインで使うんだよね?とか
色々有ると思いますが、それよりも一歩深く学べる内容となっています!
ぜひ最後まで読んでみて下さい!

目次

そろそろ引き込むの辞めにしませんか?

ドローインのキューイング

腹横筋収縮のキューイング

上の画像は、ピラティスでよく使われる「ドローイン」の指導です。
ドローインは皆さん知っての通り、腹横筋を選択的に収縮させるエクササイズです。

そして、多くのインストラクターさんが
「お腹を薄く」「引き込むように」「おへそを床に沈めていくように」などバーバルキューを駆使して収縮を促していると思います。

ですが…私はココに落とし穴があると思っています。

ドローインは確かに腹横筋を意識的に収縮させるのには非常に良いエクササイズですが、誰にでも当てはめて良いわけでは無いと思っています。

私がドローインを意識的に行わせる場合は以下のとおりです。

・産後のママさん
・慢性的な腰痛の方
・腹圧が入らずポッコリお腹で代償する方

上記のケースでは、腹横筋の弱化や収縮の遅延が考えられるので、まずは随意的な収縮を促します。

しかし、それ以外の方においては、もしかするとドローインが“悪手”になっているかもしれません。

「え!?なんで??」
と思ったインストラクターさんは、最後まで読んでみてくださいね!

腹横筋=「無意識」筋

腹横筋のフィードフォワード

腹横筋のフィードフォワード

腹横筋研究の第一人者にオーストラリア人のホッジスという方がいます。
このホッジスの研究はピラティスレッスンを行う上でも非常に役立つので知っておいて損はありません。

ホッジスの研究結果では、

腹横筋にはフィードフォワード制御という特性がある

フィードフォワードとは、手や足を動かすよりも先に、無意識のうちに腹横筋が先行して収縮し、体幹を安定させるという仕組みのことを指します。

つまり、「お腹を引き込んで」と意識的に収縮させるのではなく、自然と腹横筋にスイッチが入るのが本来のあり方という事です!

ですが、前述の通りこのフィードフォワードが上手く働かないケースもあります。
それが、産後のママさんや慢性的な腰痛患者です。この場合は意識的に使わせて収縮感を認知するところから始めるのが良いかと思います。

腹横筋の意識的な収縮が生む弊害

腹横筋の意識的な収縮が生む弊害

腹横筋の意識的な収縮が生む弊害

ここまでの説明では、
「でも、なんで意識的に収縮させるのがダメなの?」
とまだ腑に落ちていない方も多いかと思いますので、そこをこれから解説していきます!

腹横筋をはじめとして、深層の筋肉を意識しすぎた結果として…

・外腹斜筋などの過剰収縮
インナーを使っているつもりがアウター優位に

・運動のぎこちなさ
→自然な運動連鎖が阻害される

・運動の学習が進まない
→いつまでたっても日常には汎化されない

このような弊害が生まれる可能性が大きいと思っています。

前述のように、腹横筋は本来、無意識的に使われるべきインナーマッスルです。
そのため、意識的な収縮を促し続けてしまうと、かえってアウターマッスルで固めてしまったり、運動連鎖を阻害したり、運動の学習には繋がりにくいといったデメリットを生んでしまう可能性が高いのです。

私たちの身体運動は、大きく分けて以下の2つの神経回路で制御されています
無意識的な運動制御(皮質下ルート)
脳幹・小脳・脊髄などによる姿勢制御・安定化・反射的調整
深部筋(例:腹横筋、多裂筋、骨盤底筋など)はこのルートで働きやすい
いわば“自動運転”

意識的な運動制御(皮質運動系=大脳皮質)
主に一次運動野・前運動野・補足運動野が関与し、随意運動を司る
「よし、今から動こう」という意識的な運動
細かな調整は苦手/筋間の協調はやや粗い
いわば“マニュアル運転”

環境づくりが大切

腹横筋を入れる為の環境つくり

腹横筋が入る環境

ここまでの説明だけだと、
「じゃあ腹横筋をどうやってピラティスに活かしたらいいの?」
という質問が生まれてきそうな気がしますので、それに答えたいと思います!

腹横筋を無意識下で働かせるには

・背骨を長く保つ(エロンゲーション)
・呼吸を絶えず止めない
・腹横筋に付着する胸腰筋膜の柔軟性を上げておく

この3つを抑えておくことが大切です。
エロンゲーションで軸方向に伸びることで、インナーマッスルは自動的にスイッチが入りやすくなります。
また知って通り、呼吸によって腹横筋は働きますので呼吸を止めるのはNG
そして腹横筋は胸腰筋膜にも付着しています。この部分の柔軟性を上げておくことで息を吸う時に腹横筋が遠心性に収縮し、コルセットとしての機能を果たす際にも重要になります。
胸腰筋膜を伸ばすためには、腰椎〜骨盤の屈曲や側屈、回旋動作が有効になります。(後の動画で解説)

Bogduk, N. (1987). Clinical Anatomy of the Lumbar Spine and Sacrum.
→「腹横筋は胸腰筋膜の中葉および後葉に起始し、脊柱の安定化に寄与する。」

Vleeming et al. (1995). The thoracolumbar fascia: anatomical and functional implications
→ 屈曲により胸腰筋膜(TLF)後葉に張力が加わり、体幹安定に必要な張力バランスが発生する

現場で活かせる動画解説!

ここからは動画で解説していきます!


腹横筋を入れるための胸腰筋膜ストレッチ

①土下座ポーズで肘でマットを押して背中を丸める
→腰のスペースを広げるように呼吸を繰り返す
②四つ這いで同じく呼吸
③あぐらで側屈+回旋→指先から骨盤までを伸ばすように

インナーマッスルが自動にはたらく座位エクササイズ

①座位で骨盤を立てその上に背骨を乗せる
→両手前ならえで既にお腹を使う感じがあればOK
②腰を反らず丸めず両手をバンザイしても自然とお腹に効いていればOK
③脚を持ち上げると更にハード

インナーマッスルが自動にはたらく四つばいエクササイズ

①よつばいでニュートラルポジションに
→頭からお尻に指標となるモノを置くと分かりやすい
この時点で既にお腹を使う感じがあればOK
②体幹を抜かずに上肢・下肢の拳上動作ができれば更にGood

いかがでしたでしょうか?

腹横筋を入れるのは「ドローイン」だけでは無いことが分かりましたか?

運動学習では意識→無意識への自動化が大切になってきます!
つねに意識させるのではなく、勝手に入ってるというのがゴールなので、インストラクターの方はぜひ今回の内容を現場に活かしてみて下さい!!

イントラさんのご予約や開業相談もお待ちしておりますので、お気軽に〜!

以上参考になれば嬉しいです。

また次回の投稿もお楽しみに!

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